垢BAN要請による流通阻止

掲載:2025年12月13日

垢BAN要請による流通阻止

トラブルの解決は必ずしも訴訟で行うとは限りません。垢BAN要請という新手法が登場しています。

 もくじ

侵害コンテンツの公開で垢BANが実行される日
 1. もはや裁判所よりも強力な垢BAN要請
 2. 垢BAN要請が好まれるようになった背景
注意事項
・もし侵害ではなかったら逆に損害賠償請求のおそれ
・特許権・意匠権・商標権が最低限必要

 お問い合わせ

垢BAN要請についての質問・お問い合わせは、下の青いボタンからお問い合わせフォームにアクセスいただきフィラー特許事務所までご連絡ください。内容を確認後、弁理士・中川真人から直接ご回答をお送りします。

侵害コンテンツの公開で垢BANが実行される日

1. もはや裁判所よりも強力な垢BAN要請

Google・YouTubeやAmazon、Facebook・Instagramといった米国系Tech企業では、自社の知的財産権を侵害された場合に、侵害品の流通を促してしまうコンテンツの拡散を防止するために専用の通報窓口を用意しています。

垢BAN要請をするには、おおまかに自社の特許・意匠登録・商標登録番号と、侵害物品・侵害コンテンツの所在、そして侵害物品・侵害コンテンツがいかに自社の特許権・意匠権・商標権を侵害する恐れがあるかを説明して行います。これを各プラットフォーマーがそれぞれ判断し、対応を決めます。

2. 垢BAN要請が好まれるようになった背景

垢BAN要請は、文字通り市場からの締め出しという要素が強く、裁判所のような公的な力によって作用するものではないので、あまりに垢BAN要請が頻発されるのも公平な世界とは言えません。しかし、特に米国では裁判所による解決よりも垢BAN要請による市場からの締め出しの方が実効力があるとして、年々その影響力が強くなっています。なぜ垢BAN要請がここまで好まれるかというと、純粋に費用対効果が高く、時間もかからないからというメリットが非常に魅力的だからです。そして、知的財産権侵害の舞台の多くがインターネットを介したSNS上で繰り広げられるようになったというのもその大きな理由の一つと言えます。

注意事項

もし侵害ではなかったら逆に損害賠償請求のおそれ

しかし、垢BAN要請の結果ある事業者のビジネスアカウントが削除や凍結となり、反撃としてその事業者が裁判所に訴訟を提訴(日本では不正競争防止法違反での提訴となります)し勝訴した場合、垢BAN要請をした側の特許権者・意匠権者・商標権者は、逆に損害賠償を請求される側になります。そして、立場は逆転し垢BAN要請をした側が今度は不正競争事案の事業者として見られるようになります。そのため、垢BAN要請は簡略で実行力が高いと言えども、極めて慎重に行う必要があります。また、そのような事情もあり各プラットフォーマーは垢BAN要請を代理人(弁護士)により行うことを強く推奨しています。

特許権・意匠権・商標権が最低限必要

また、垢BAN要請には特許権・意匠権・商標権が最低限必要です。各プラットフォーマーは、垢BAN要請が正当なものかを判断する根拠として、垢BAN要請をした側が正当な知的財産の権利者かを確認する必要があります。そこで使われるのが、事業を展開している国での特許権・意匠権・商標権です。最低限、これらを持っていないと垢BAN要請は不可能なので、将来的に垢BAN要請も見越した知財戦略を組みたいのであれば、出願を依頼する弁理士・特許事務所にその旨を伝えておきましょう。