損害賠償額はどのように計算されるのか

掲載:2025年12月13日

損害賠償額はどのように計算されるのか

損害賠償請求で一攫千金は可能なのでしょうか。損害賠償額の計算方法を簡単に説明します。

 もくじ

黒字になることはなく立証ハードルも高いという現実
 1. 被害回復という計算方法
 2. ライセンス料相当額という落とし所
 3. ほとんど認めてもらえないという現実
注意事項
・最も重要なのは「誰か?」の部分
・品質はあまり重視されない

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黒字になることはなく立証ハードルも高いという現実

1. 被害回復という計算方法

日本の裁判所では、法律違反や契約違反があったことで被害者に実害が生じた場合、それを金銭に換算して弁償させるという考え方で損害賠償額を計算します。これを、被害回復と言います。

ということは、100万円を損したのであれば損害賠償額は最大で100万円、決して黒字にはならないのです。これが日本の司法の限界です。法律違反や契約違反によって迷惑を受けた場合、どんなに頑張っても損をすることに変わりはありません。これは知的財産の分野においても原則は変わらないため、世界からは非難轟々のアンビリーバボーではありますが、これが日本の司法の限界です。

2. ライセンス料相当額という落とし所

さらに、知的財産権の侵害ではこの計算はさらに難しくなります。要は、特許権侵害や商標権侵害があったからこそ得られなかった利益を計算することになるわけですが、例えば「侵害がなければ本来1000個売れていたのにX社のせいで600個になった」といった数字を計算した上に立証までしなければいけません。これはさすがに現実問題として無理なので、この場合は実際にX社の販売した販売個数に本来支払わなければいけなかったライセンス料を「本来特許権者が得ていたであろう未収金」と考えて請求することになります。

3. ほとんど認めてもらえないという現実

このように、特許権者や商標権者にとっては面白い話ではない損害賠償請求ですが、知的財産権の侵害事件で最も恐ろしいのは、損害賠償という面よりも市場からの締め出しという事業継続性の問題となります。例えば、国際的にも知的財産の侵害はかなりの重罪と扱われていますので、個人で偽ブランドを販売したような履歴がつくと、国内でも逮捕・起訴される可能性がそもそも高い上に、海外旅行などでもかなりの不自由が強いられることがあります。また、法人であれば資金調達や販売・小売についても、文字通りの締め出しに近い扱いを受けることになります。こうした一歩踏み違えば追放のおそれといった緊張感が、市場の秩序維持に役立っているのです。

注意事項

垢BANの恐怖

知的財産権の侵害は市場から追放されるおそれがあるというお話をしましたが、これは裁判所といった公的なものから銀行や小売店、街の取引業者に至る私的な関係にまで及んでいきます。そして、近年ではGoogle・YouTubeやAmazon、Facebook・Instagramといった米国系Tech企業も知的財産権の侵害には明確なNoを突きつけるようになっています。知的財産権の侵害によって、これらサービスから企業アカウントごとBAN(アカウント凍結や削除のこと)されるリスクというものが生じ始め、彼らも知的財産権侵害に関する専用の通報窓口を用意して弁護士・弁理士に向けて情報共有をしています。企業アカウントのBANは、もしかしたら訴訟よりも甚大なリスクとなる可能性も否定できません。

商標権の侵害事件は高額になりやすい

特許権や商標権の侵害に関する損害賠償は低額になりがちでかつ難易度も高いというお話を行いましたが、とりわけ有名な国際ブランドや映画・アニメなどコンテンツ産業に関する商標権の侵害は、逆に「悪いことをしてお金を稼いでやろう」という魂胆が見え透いているというか、説明がしやすいので、逮捕・起訴されやすく、損害賠償額も高額になる可能性が一気に高まるという特徴があります。特に、有名な国際ブランドや国際的な人気キャラクターともなれば「我が国が知的財産権の保護に非協力的」という印象を与えないためにも、特に厳しい取り締まりがされがちと捉えておいた方が安全でしょう。ここは、異論がないところだと思います。