特許を収益化する5類型

掲載:2025年12月8日

特許を収益化する5類型

特許の収益化は、自己実施、ライセンス、権利販売の大きく3つのやり方があります。

 もくじ

3つの収益モデル
・自己実施
・ライセンス
・権利販売
・不動産で例えると
注意事項
・特許を受けるだけでは収益化にはなりません
・技術開発から活用方法の開発へ

 お問い合わせ

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3つの収益モデル

1. 自己実施

特許権が設定されると、特許権者以外はその発明を自己の実施の事業に使用できなくなります。そのため、市場に流通する同一技術の競合製品を排除することができ、それによって独占的な収益を上げようというのが自己実施による収益化です。

しかし、一般に言われる「特許による市場の独占」ができるかと言えば、そうとは限りません。独占できるのはあくまで技術であって、市場そのものではないのです。自己実施による収益化には、その技術のブランド化も並行して行う必要があります。シャープ株式会社のプラズマクラスター®️(登録4521235,2001/11/9)などは、その成功例です。

2. ライセンス

特許を受けて他社にライセンスし、ライセンスフィーを受け取る方法があります。ライセンスフィーは一般に特許料と呼ばれることもありますが、正しくは実施料と呼びます。実施料をいくらに設定するかは特許法に規定はありません。契約で自由に決めることができます。

ライセンスは、特許権者の代わりに技術を独占できる専用ライセンス(専用実施権)と、誰にでもいくらでも技術の使用を許諾できる通常ライセンス(通常実施権)の2種類があります。ライセンスを用いるビジネスモデルとして、製造許諾による事業提携や、オープン特許戦略、知財ミックス戦略など、たくさんの方法があります。

3. 権利販売

特許権は名義変更をすることができ、自由に売買することができます。特許を欲しがっている企業を探して売却したり、いらなくなった特許を競合他社に売却することもできます。特許の売買額の決め方は、実施量と同様に特許法に規定はなく、契約で自由に決めることができます。

4. 不動産で例えると

特許権を土地と考えると、自己実施は自己の所有地に建物を建てて自分で住むこと、ライセンスは土地を貸して賃料を受け取ること、権利販売は土地を文字通り売却することに該当します。特許の収益化は、自分で使うか、誰かに貸すか、誰かに売ってしまうかの3択ということです。

注意事項

特許を受けるだけでは収益化にはなりません

特許で収益化をするには、お金の授受の機会が生じるように、特許権をビジネスモデルにのせる必要があります。そのビジネスモデルのことを、特に知財戦略と呼びます。知財戦略は、日本では長らく自己実施による技術の独占という方法が用いられてきましたが、技術水準の全体的な底上げやコモディティ化により、2000年代からは徐々にこの方法も収益化を図るのに十分なものとは言えなくなりました。特許を使った知財戦略は、自己実施やライセンスを組み合わせたジェネリック戦略や標準化モデル、知財ミックス戦略といったさらに高度なモデルが登場し、特許という技術開発そのものではなく、それをのせる知財戦略を含めての国際競争も年々激しくなっています。

技術開発から活用方法の開発へ

2010年代からは、特許を受けることそのものよりも、知財戦略を先に組み立て、それに必要な特許を逆算して開発していくという大きなパラダイムシフトが起きました。その舞台はアメリカで、一般にビックテックと呼ばれるGoogle、Apple、Metaの3社が火付け役となり、製品中心・プロダクト中心だった技術開発が、サービス中心・戦略中心の技術開発に転換したのです。日本は、この流れには残念ながら遅れをとっています。このような知財戦略から必要な技術開発が行われていくという流れは、今後さらに加速することはあっても減衰することはないと考えられ、従来の製品中心・プロダクト中心の技術開発ではこれら世界の潮流に対抗しきれなくなってきていることに注意が必要です。